ビルアンサー
ビルアンサー

フルローンも可能? 法定耐用年数と建物投資価値年数の違いとは

現在、建物の耐用年数は「法定耐用年数」をベースに語られることが多いと思います。国税庁では、木造住宅であれば22年、鉄筋コンクリート造であれば47年と定めています。実はこれ、あくまで税法上の「減価償却の耐用年数」であり、建物の寿命ではありません。

しかし、金融機関と話をするとき、税理士と話をする時など、耐用年数と言えば「法定耐用年数」と決まっているかの如く、世の中では「耐用年数=法定耐用年数」というイメージが定着しています。

国税庁ホームページ「税法上の減価償却制度の沿革」によると、そもそも減価償却について税務上最初に認められたのは、明治36年 海運業者の保有する船舶についてだそうです。その後、税法上明確に規定されたのが昭和22年法人税改正時ということで、要するに、かなり古い時代に規定されたものということです。そういうこともあり、国交省からも、「建物の状態・機能にかかわらず、一律に筑後20〜25年で建物の市場価値がゼロとなるのは実態と合っていない」「建物の価値が向上するリフォームが価格に反映されていない」と問題提起がなされています。しかし、建物の「耐用年数=法定耐用年数」という考え方は今でも根強く残っています。 

「建物投資価値」という考え方

国交省は、耐用年数を「経済的耐用年数」「期待耐用年数」「物理的耐用年数」と3つの耐用年数の考え方を唱えています。それぞれに意味・性格の違いがありますが、もっとシンプルにした考え方、「建物投資価値」(レトロフィットジャパン協会)という考え方が今、注目されています。

これは、技術が進歩した現在だからこそ可能な考え方で、建物が持つ固有振動数に着目し、その固有振動数の低下傾向を測定することで、建物の健全性が残り何年なのか、を測定できるというものです。

この技術を用いいることで、今まで一律だった法定耐用年数による建物の残存価値という考え方から、建物1棟1棟ごとに残存耐用年数を数値化し、建物の価値を判断する、という考え方が可能になります。

実際、一部の金融機関では、この「建物投資価値」の測定結果により、建物の健全性が確認出来たことで、法定耐用年数以上の融資期間の取組みが可能となったり、融資額が増えたり、といった事例もあるようです。

また、りそな銀行は青木茂建築工房と業務提携し、青木茂建築工房がリファイニング建築(再生建築)を実施した建物について融資面でバックアップする、といったように、法定耐用年数があまり残っていない建物であっても、適正に再生工事がなされれば、既存の考え方にとらわれない融資が利用できる、といった動きがではじめています。

とはいえ、再生工事を実施した建物や建物投資価値がある建物について、税法上でも減価償却の耐用年数が確保できなければ、本当の意味で日本の中古建物の価値向上につながらないので、まだまだ課題あることは否めないでしょう。

記事協力:一般社団法人レトロフィットジャパン http://rji.or.jp